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東京高等裁判所 平成8年(行ケ)71号 判決

スペイン国バルセロナ25 レパント410-414番地

原告

ニュトレックスパ ソシエダド アノニマ

代表者

ドン ハビエル マリア フェレロ ホルディ

訴訟代理人弁理士

広瀬文彦

東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号

被告

花王株式会社

代表者代表取締役

常盤文克

訴訟代理人弁理士

宇野晴海

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

この判決に対する上告のための附加期間を30日と定める。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成3年審判第7111号事件について、平成8年1月5日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文第1、2項と同旨。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

被告は、別紙1のとおり、「KAO」の欧文字を横書きしてなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」(商品区分は、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令の区分による、以下同じ。)を指定商品とする登録第2204125号商標(昭和62年8月20日、連合商標として登録出願、平成2年1月30日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。

原告は、被告を被請求人として、本件商標につき登録無効の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成3年審判第7111号事件として審理したうえ、平成8年1月5日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年1月29日、原告に送達された。

2  審決の理由の要旨

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本件商標と、「コラカオ」の片仮名文字と「COLA CAO」の欧文字とを二段に横書きしてなる登録第2564360号商標(指定商品を第29類「コーラの実の粉末を添加したココア、コーラ飲料」として、昭和53年8月16日登録出願、平成5年8月31日設定登録、以下「引用商標」という。)とは、称呼、外観、観念のいずれの点よりみても類似しない、別異の商標といわざるをえないから、本件商標は、商標法4条1項11号の規定に該当するものとは認められず、同法46条1項の規定によりその登録を無効とすることはできないとした。

第3  原告主張の取消事由の要点

審決の理由中、本件商標と引用商標の各構成及び指定商品の認定、両商標がその外観において区別できるものであり、両商標から特定の観念は生じないこと、本件商標から「カオー」又は「カオウ」の称呼が生じ、引用商標から「コラカオ」の称呼が生ずることは、いずれも認める。

審決は、引用商標についての称呼の認定を誤って類否判断をしたものであるから、違法として取り消されるべきである。

1  本件商標からは、「カオー」又は「カオウ」の称呼が生ずるほかに、「カオ」の称呼も生ずる。これに対し、引用商標からは、「コラカオ」の称呼が生ずるほかに、以下に述べる理由により、「カオ」又は「カオー」の称呼も生ずる。

(1)  引用商標の下段のローマ字は「COLA CAO」の態様であり、「COLA」と「CAO」の間に明らかにスペースを開けている。スペースがあれば、商標が複数の部分から構成され、構成各部からそれぞれ称呼が生ずるのが経験則である。

(2)  引用商標の指定商品は、「コーラの実の粉末を添加したココア、コーラ飲料」に限定されており、引用商標の「コラ」「COLA」の部分が商品の品質表示と認識されていることからも、識別性のない部分を除いた「CAO」の部分から分離した称呼を生ずる。このことは、原告が引用商標を「コーラ」の商品に使用していないとしても否定されるものではない。

特許庁においても、引用商標の片仮名文字と同じく「コラ」の語を含む「コスモコラ」の商標について、取引者・需要者は「コラ」の文字部分は商品の品質を表示したものと理解するから「コスモ」の称呼をも生ずるとして、「COSMO」の商標と類似するとした審決が存する(昭和57年審判第5101号・甲第19号証)し、同様に、品質表示部を含む結合商標について、その余の部分からの称呼が生ずるとした審決は数多い(昭和47年審判第7688号・甲第20号証の1、昭和41年審判第2541号・甲第20号証の2)。

2  特許庁は、引用商標が登録に到る前記期日までの間、引用商標から「カオ」又は「カオー」の称呼を生じ、被告の所有する商標「花王」「KAO」と類似すると判断して、拒絶査定を繰り返してきた。例えば、引用商標に関する昭和61年9月25日付け拒絶査定(同謄本・甲第5号証の4)において、引用「商標中の『COLA』の文字は、コーラ飲料を表示する語として業界において顕著な事実であり」との判断を示し、引用商標中の「CAO」及び「カオ」の部分から「カオ」の称呼が生ずるのに対し、「KAO」の商標からも「カオ」の称呼が生ずるから、称呼上類似するとしている。

このような特許庁による従前の判断が、合理的な理由なく一方的に変更され、本件商標と引用商標が類似しないと判断されることは、法的安定性を著しく阻害し、原告のような外国法人に対する国際信義にも反するものである。なお、前記引用商標は、いずれも最終的に不使用を理由に取り消されたり、存続期間が満了しており、このような使用されない商標を利用して、原告のように真面目に商標を使用・登録したい企業の商標登録を妨害する被告の姿勢は、法律上許されるものではない。

第4  被告の反論の要点

審決の認定判断は正当であって、原告の主張には理由がない。

1  本件商標から「カオー」又は「カオウ」の称呼が生ずるのに対して、引用商標からは、「カオ」又は「カオー」の称呼は生じない。

(1)  英文字からなる単語の複数の表示は、単語間に半スペース程度の空間を設けることが通常であるから、引用商標において「COLA」と「CAO」の間にスペースがあるからといって、全体の称呼を分離して、「CAO」のみから称呼が生ずるとするのは不自然である。また、引用商標から生ずる「コラカオ」の称呼は、わずか4音からなるものであって冗長ではないから、全体として「コラカオ」と称呼することは極めて容易である。しかも、引用商標においては、「コラカオ」の片仮名文字が、同書同大同間隔で一連不可分に併記されており、欧文字部分からの称呼もこれによって限定される。

(2)  原告は、引用商標の審査過程における意見書(乙第1号証)では、「コラカオ」及び「COLA CAO」は一連の語として認識されるとし、しかも「COLA」は品質の表示ではないとして、引用商標から「コラカオ」の称呼のみが生ずると主張していた。

また、原告は、「コラカオ」の称呼を生ずる「Colacao」「Cola Cao」の2件の商標を、「コーラ」とは関係のない第29類(茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷)に属する商品全部について出願して登録を受けている(甲第11号証の1、2)。このことは、「Cola」の部分が品質表示でないとして商標登録を受けたことを意味するものである。しかも、原告は、「コーラ」ではないココア風味の栄養補助飲料の商品に、「Cola Cao」「コラカオ」との名称を付して販売していたことがある(乙第5号証)。

2  引用商標の拒絶査定に対する審決(昭和62年審判第2352号・乙第14号証)においては、引用商標と「花王」及び「KAO」の登録商標とが類似するとの判断は示されておらず、これらの登録商標の不使用による取消審判においても、当然のことながら、引用商標から「カオ」又は「カオー」の称呼が生じると判断されたことはない。

以上のとおり、引用商標からは、「コラカオ」の称呼のみが生じ、この称呼と本件商標の「カオー」又は「カオウ」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異があるから、両者は容易に区別できる。

したがって、両商標は、称呼上、容易に区別できるとした審決の認定(審決書8頁14~18行)に誤りはない。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立については、いずれも当事者間に争いがない.

第6  当裁判所の判断

1  審決の理由中、本件商標と引用商標の各構成及び指定商品の認定、両商標がその外観において区別できるものであり、両商標から特定の観念は生じないこと、本件商標から「カオー」又は「カオウ」の称呼を生じ、引用商標から「コラカオ」の称呼を生じることは、いずれも当事者間に争いがない。また、本件商標の構成からすると、その欧文字から「カオ」の称呼も生ずるものと認められる。

2  引用商標は、別紙2のとおり、いずれもブロック体による「コラカオ」の片仮名文字と「COLA CAO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、上段の「コラカオ」の片仮名文字は、同大同間隔で一連不可分に構成され、下段の「COLA CAO」の欧文字は、「COLA」と「CAO」との間にわずかに半字分程度のスペースがあるが、その前半部と後半部は、いずれも同大同間隔の4文字及び3文字により構成される比較的短いものであり、どちらか一方が強調されることなく前後がバランスよく配置されており、その外観上「CAO」の部分が特に強調される態様のものではないと認められる。また、引用商標の片仮名文字及び欧文字に照応してその全体から自然に生ずる「コラカオ」の称呼は、わずか4音からなるものであって、特に冗長であったり発音が困難であるとは認められない。

以上のように、引用商標は、全体として統一のとれた比較的短いものであり、上段の片仮名文字は引用商標全体の称呼を明確に示し、その「コラカオ」の称呼自体も簡潔なものであるから、これに接する一般の需要者・取引者は、その商標全体を一体のものとして称呼するのが自然なことであると認められる。

原告は、引用商標の「コラ」「COLA」の部分が商品の品質表示と認識されているから、識別性のない部分を除いた「CAO」の部分から分離した称呼を生ずると主張する。しかし、引用商標の前示構成及び称呼の簡潔性からみて、「COLA」の部分が特定の商品の品質表示と理解されてその部分の称呼が除外され、後半の「CAO」の部分のみが独立して称呼されるものとは認められず、その他本件全証拠によるも、「CAO」の部分のみが強調されて独立した称呼を生ずるような特段の事情を認めることはできないから、原告の上記主張は採用できない。

そうすると、引用商標からは、「コラカオ」の称呼のみが生ずるものであって、これが音構成及び音数を異にする本件商標の称呼「カオー」、「カオウ」又は「カオ」と相違することは明らかであり、しかも、前示のとおり、本件商標と引用商標が外観において明確に区別され同一又は類似ということができず、両商標のいずれからも特定の観念は生じないから両商標が観念においても同一又は類似といえないことを併せ考慮すると、本件商標と引用商標は、全体として互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

したがって、本件商標は、商標法4条1項11号の規定に違反してなされたものではないから、同法46条の規定により無効とすることはできないとした審決の判断(審決書9頁8~11行)は正当であるというべきである。

原告は、特許庁が、従前は引用商標から「カオ」又は「カオー」の称呼を生じ、商標「KAO」「花王」と類似すると判断していたにもかかわらず、これを合理的な理由なく一方的に変更したことは法的安定性を阻害する等と主張する。しかし、引用商標の出願手続における審査の段階で、審査官が上記判断をしていた経緯があったとしても、その審査官の判断は、前示説示に照らせば誤りというべきであるから、このことによって、両商標は類似しないとした本件審決の判断の正当性が左右されるものではないことは明らかである。原告の上記主張は採用できない。

原告の審決取消事由の主張は理由がなく、他に審決にこれを取り消すべき瑕疵はない。

3  よって、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間の付与につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条、158条2項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

別紙1

本件商標

〈省略〉

別紙2

引用商標

〈省略〉

平成3年審判第7111号

審決

スペイン国 バルセロナ 25 レパント 410-414番地

請求人 ニュトレックスパ ソシエダド アノニマ

東京都港区西新橋1-12-1 第一森ビル9F 広瀬国際特許事務所

代理人弁理士 広瀬文彦

東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号

被請求人 花王株式会社

東京都港区西新橋1-20-4 重信ビル2階 畠特許事務所

代理人弁理士 畠豊彦

上記当事者間の登録第2204125号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する.

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

審判費用は、請求人の負担とする。

理由

1. 本件登録第2204125号商標(以下、「本件商標」という。)は、「KAO」の欧文字を横書きしてなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、昭和62年8月20日に登録出願され、平成2年1月30日に設定登録されたものである。

2. 請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する昭和53年商標登録願第60993号は、「コラカオ」の片仮名文字と「COLA CAO」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第29類「コーラの実の粉末を添加したココア、コーラ飲料」を指定商品として、昭和53年8月16日に登録出願され、平成5年8月31日に登録第2564360号商標(以下、「引用商標」という。)として設定登録されたものであり、現在有効に存続しているものである。

3. 請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)本件商標は、欧文字「KAO」を横書きした構成であり自然に「カオー」又は「カオウ」の称呼を生ずるものであり、先に消滅した商標登録第1604461号「KAO」の連合商標として出願されたため、先願である引用商標「COLA CAO」とは類似するにもかかわらず、先に審査された結果、登録されたものである。

(2)引用商標からは、「コラカオ」の称呼を自然に生ずるものであるが、審査の時点では、「CAO」の部分から「カオ」の称呼が生ずると判断され、先に消滅した先登録商標「KAO」と類似するとの理由で拒絶されたものである。

この判断の基礎には、欧文字「COLA」の部分の顕著性を否定する判断があり、その結果として「カオ」の称呼をも生ずるものである。

(3)本件商標から生ずる「カオー」又は「カオウ」の称呼と、引用商標から生ずる「カオ」の称呼とは、語尾において長音が存在するか否かの微差が存するにすぎない。したがって、簡易迅速を尊ぶ現実の取り引きにおいては、語尾の微差はあまり注目を置かれることがないので、彼此混同を生ずることは必定である。

また、本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品とが同一又は類似する商品であることは明らかである。

よって、本件商標は、先願に係る引用商標と称呼上類似するものであり、同一又は類似の商品に使用せんとするものであるから、商標法第8条第1項に該当するものであり、また、引用商標が登録された場合には、商標法第8条第1項又は同法第4条第1項第11号に該当するので、同法第46条の規定に基づき無効にすべきものである。

(4)さらに、被請求人は、本件の引用商標が、本件商標と類似しないものである旨を審判事件における異議決定例を挙げて述べているが、これは本件とは事件を異にするものである。

なお、該異議決定においては「類似」の文言が使用されているが、商標法第4条第1項第15号の規定は商標の具体的な出所の混同だけを問題とするものであり、類似に関する規定ではない。したがって、異議決定においても、商標法第4条第1項第15号の出所の混同が生じないとの判断が中心であって、類似云々は傍論の部分にすぎない。また、抽象的な「類似」の概念が具体的な「混同」から抽出されて成立したことは認められても、商標法第4条第1項第15号に該当するか否かの判断と商標法第4条第1項第11号の類似するか否かの判断は全く別の次元の問題であり、同第15号の混同に該当しないからといって、同第11号の類似に該当しないという問題ではない。

4. 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第3号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号又は同法第8条第1項の規定に該当するものである旨主張しているが、上記各法条は、引用商標が登録されてはじめて適用されるものであること明らかであるが、請求人は、引用商標が登録されている事実を立証するところがないのであって、本件審判の請求は成り立たない。

(2)請求人が引用する商標については、被請求人において、本件商標と同一の称呼が生ずることの明らかな登録商標を引用しつつ、登録異議の申立てをなしたところ、該引用商標とは類似するものではない旨認定され、理由がない旨の登録異議の決定が既になされているところである(乙第3号証)。

上記事実によるときは、本件審判請求人が主張するところの引用商標と本件商標とは類似しないものであること明らかであるものというべく、したがって、本件審判の請求は成り立たないものである。

5. そこで、まず、本件商標が商標法第4条第1項第11号又は同法第8条第1項に違反した登録であるというには、引用商標が登録されていることが要件とされるところ、請求人が引用する昭和53年商標登録願第60993号は、平成5年8月31日に登録第2564360号商標として設定登録されていること前記のとおりであるから、

「請求人は、引用商標が登録されている事実を立証するところがないのであって、本件審判の請求は成り立たない。」とする、被請求人の主張は採用し難いものである。

つぎに本案に入って本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は「KAO」の文字を一連に横書きしてなるものであるところ、これより構成文字に相応し「カオー」又は「カオウ」の称呼が生ずるものである。

他方、引用商標は、前記のとおり、「コラカオ」と「COLA CAO」の文字とを二段に横書きしてなるところ、前半の「コラ」及び「COLA」の文字は、引用商標に係る指定商品との関係を考慮し観察した場合には、コーラ飲料を製造する際に原料として用いられるアオギリ科の植物(cola:「コラ」又は「コーラ」)に通ずるものであるとしても、かかる構成においては、これが特定の商品又は商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものとはいい難いものである。

また、前半の該文字部分は、後半の「カオ」及び「CAO」の文字と外観上まとまりよく一体のものとして構成され、また、これより生ずる「コラカオ」の称呼も、格別冗長というものではなく淀みなく一連に称呼し得るものであり、他に構成中の「カオ」及び「CAO」の文字部分が独立して認識されるとみるべき特段の事情も見い出せないことから、引用商標は、構成全体を持って一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。

してみれば、引用商標は、その構成文字に相応して「コラカオ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。

してみると、「カオー」又は「カオウ」の称呼が生ずる本件商標と、「コラカオ」の称呼が生ずる引用商標とは、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであるから、称呼上、両者は容易に区別し得るものである。

また、本件商標と引用商標は、前記の構成よりなるものであるから、外観上その構成文字に明らかな差異が認められるものであり、また、両者は、いずれも全体として特定の意味合いを看取し得るものとも認められないことから、観念上も相紛れるおそれのないものである。

そうとすると、本件商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれの点よりみても類似しない、別異の商標であるといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとは認められないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

平成8年1月5日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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